何が出来る?を考えて2週間


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「この場所+コーヒーで何が出来るのかな?」、そんなことを考え続けて、着工から2週間が過ぎた。6月末には友だちにこんな素敵なページを作ってもらったにもかかわらず、答えが出ず、一文字も書けずに、日々の作業に追われていた。

振り返ってみれば、「場所があれば」、そんなふうに考えるようになったのは、2008年に滋賀県甲賀市の廃校を自分たちの手で改修し、そこに住み、子供を育て、木工工房とギャラリーとパティスリーを営んでいる川端健夫さん、美愛さん夫妻をNHKの教育番組のテキスト作りのために取材したときからだ。

小さな丘の上にあった廃校舎が息を吹き返し、そこでいろいろなものが作られ、生まれ、人が楽しそうに集う。そんな様子を見ていて、「場所があるってすごいことなんだな」と思った。

そんなあこがれのような気持ちが私の中で大きく膨らんだのは、東日本大震災のすぐ後のこと。川端さんは、私が腰が抜けたようになっていたころ、その校舎の中でチャリティワークショップを開いていた。参加者は川端さんに指導を受けながら、一人ひとり木のスプーンを真剣な表情で作り、笑い、語り、とてもうれしそうに作品を手に帰って行った。

参加費は一人1000円、大きな金額ではないけれど全額が日本赤十字社に寄付された。この場所があって、彼がいて、人が集まって、東北へ気持ちをまっすぐに送ることができた。それが、場所の持つ力を実感した初めての日。そのときに感じた静かだけれど確かな感覚を求めて、何が出来るのかわからないまま、この町角に小さな場所を作り始めた。