スペースにあるベンチのこと。


写真 1-3 写真 2-1

先週の水曜日、vow’s spaceのfacebookにこんな文章を書きました。多くの方に、いいねやコメントをいただいて気持ちを新たにしたので、このブロフにも載せてこうと思います。↓

今日は、展示スペース内に置かれているベンチについて、少し長くなりますが書きたいと思います。

このベンチは2011年に11月に岩手県陸前高田市の仮設住宅に寄贈するために、川端健夫さんがデザイン・制作したものと同じベンチです。
被災した皆さんに、ものを作る人たちはどんな応援ができるのか?
私は編集者なので賛同してくれる仲間と本を作ることにし、その売り上げを応援のための資金にすることにしました。

川端健夫さんはこのベンチをデザインし、子供たちと現地で作ることができるように考えてくれました。奥様でパティシエのミアさんは現地のリンゴで子供たちとコンフィチュール(フランス風のジャム)作りをしました。プロカメラマンの大西二士男さんは、多くの方が失った記念写真を撮影しプレゼントしました。多くの有志が力を貸してくれました。

あれからもうすぐ3年目の冬です。陸前高田市の仮設住宅には、昨年の春に、みんなで一度お邪魔することができましたが、なかなかたびたびという訳にはいきませんでした。

これを書こうと思ったのは、先日マンマミーアの作品展を見に来てくださった女性が、このベンチに腰掛けて、私がベンチについてのいきさつを書いた文章を読んで涙を流していらっしゃるのを目にしたからでした。
あんなに悲しく、あんなに一生懸命何かの役に立ちたいと思っていたのに、私は少しずつ忘れてきている。そう気づきました。

震災のあったあの日から3年目を迎える昨年の春、仮設住宅に伺ったとき、一人の女性が、「何の節目でもない、何も変わらないよ」と、ぽつんとおっしゃったことを思い出します。何も言葉を返すことができなかったあの日のこと、やはり私は忘れかけていると感じます。

場所があれば、何かお手伝いができるかもしれない。そんなことを考えていたあの頃の気持ちを思い出して、小さな何かを始めたいと考えています。