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vow's space インタビュー

シベリヤブックス店主

北野 有

聞き手◉平岡京子(vow's space)

Yu Kitano

大阪府出身、古書店主。

きっかけ

 大学で図書館司書の資格を取得してから、東京、奈良の図書館で司書として勤務していました。仕事で多くの利用者の方たちと関わるのですが、中には僕がお勧めした本をとても喜んで読んでくださる方たちもいらっしゃったんです。それが僕にとってはとても嬉しくて…。いつの間にか、自分でセレクトした本を販売することを仕事にしたいと考えるようになりました。

 大阪に戻り、予算の関係もあってインターネット上での本の販売を始めました。でも、やはりお客さまに直接本を手に取ってほしい、という気持ちが強くなってきたんです。

木箱の本屋さん

 古書の店舗を持つというのも1つの選択ではありますが、特に本好き、古本屋好き、という方以外にとっては、古書店の持つ薄暗く埃っぽい雰囲気は入りにくいものだと思うんです。普段はあまり本を手に取らない方に、本を気軽に手に取っていただくにはどうすればいいのか、ずいぶん考えました。そして、敢えてあまり本好きが集まらない場所、例えば洋服やハンドメイドの小物、雑貨などが扱われているフリーマーケットに出店してみることにしたんです。すると、皆さん結構おもしろがって本を手に取ってくれる。そこから、イベントなどに木箱で本を持ち込んで古書の販売をする、今のスタイルが生まれました。活字を読むよりも、まず目で楽しんでほしい。僕自身がデザインや写真、絵本などが好きなので、まずはそういった本の世界に入りやすい、入り口になるようなものをそろえるようにしました。最近は、少しずつブックコーディネートの仕事も始めています。お店の空間に合う本をセレクトして、木箱の本棚に並べて置いていただくという仕事です。お客さまが本を気軽に手に取って、ゆっくり見られるように、そして購入しやすいようにと考えました。

 今回のイベントでは、自分が好きで海外で集めたカラフルな雑貨も一緒にお持ちして、本と一緒に楽しんでいただければと思っています。ホーローの鍋やキッチン道具、おもちゃ、古着なども並びます。海外で手に入れたラッピングペーペーで手作りしたブックカバーもありますので、ぜひコーヒーを飲みながら手に取ってみてください。


北野さんのこと

 ある日、ふらっとカフェにコーヒーを飲みに来てくれた北野 有さん。とても穏やかで静かなこの若者は、vow's spaceの近くに住み、小さな木箱に本を並べて、イベントやカフェの店先などで本や雑貨を販売して人気の古書店主だ。

 弱冠25歳の彼が考える本との向き合い方は、本や雑誌作りの隅っこに関わって来た私にとって、とても新鮮なものだった。

 ご両親が雑貨店を営んでいるという影響なのか、彼が本に向けているまなざしはとても自由で柔らかい。彼と向き合って写真集などを手にしていると、その内容や価値をわかっているのか、いないのかは関係ないなぁと思えてくる。自然に本に向き合うときの垣根のようなものがなくなって、「見て、触って、読んで、楽しめればいいんだよね」、そんな気持ちになった。(平岡)