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沖縄からのごあいさつ

沖縄県立芸術大学 大学院 染分野グループ展 「色萌す(いろきざす)」。

3月11日土曜日から開催のこの作品展に寄せて、学生の指導をなさっている、沖縄県立芸術大学 教授 渡名喜はるみ先生と、准教授 名護朝和先生から、ご挨拶が届きました。

作品展の会場にも展示をする予定ですが、先生方からブログにアップしてお一人でも多くの方に読んでいただき、足を運んでいただきたいとのご希望をいただきましたので、ここに掲載致します。

ごあいさつ

この度、vow’s space + cafeで 
沖縄県立芸術大学 工芸専修染研究室のメンバーのグループ展『色萌す』を開く事が出来ました。

きっかけは旧知の中であるvow’s のオーナー平岡京子さんが久方ぶりに沖縄を訪ねて来た事。
平岡さんが人生の節目で、今までの文字で人に伝える仕事以外に、発信する人と受け取る人を繋げる空間を提供する事を始めていました。   
私も人生の後半で、若い頃には思いも掛けなかった染を指導する立場になり、院生が巣立つ記念に、研究し立てのホヤホヤの熱い気持ちを届けられるスペースを探していていました。

縁の有る人同士は環境が変わっても縁があるようです。
本大学院一期生である名護准教授との縁、一昨年院を修了し教育補助専門員となって大学に戻り、今回のグループ展のまとめ役を担った宮城さんとの縁を、
5人の新しい触角で制作して来たメンバーがvow’sでまた新たな縁を広げて
行く事でしょう。

染研究室のメンバーもお互い刺激しながら修了制作を了え、ほっとする間もなくグループ展でvow’sというspaceで人に手渡したい思いの色を制作しています。
来場した皆様がお手に取って彼女達のできたてホヤホヤの個性の熱さを感じて頂けたら幸いです。
                   
                    沖縄県立芸術大学 美術工芸学部 
                          教授 渡名喜 はるみ

vow’s space + caféのオーナである平岡京子さんと、渡名喜はるみ教授のお力添えをいただき、県外ではじめての大学院染分野ブループ展を、開催することができました。この場をおかりしまして、お礼申し上げます。

沖縄県立芸術大学は1986年に開学し、昨年30周年を迎えました。大学院(造形芸術研究科)は1993年に設置され、私が一期生として入学してから、25年目を迎えます。数多くの修了生が、制作者や教育者として、或は企業家として、活躍しております。今回の出品者である大学院生も、4月からは、それぞれの道を切り開き、芸術の担い手として社会の中で活躍していくことでしょう。

可能性を秘めた、若い作家たちが生み出す、染色作品の一端に触れていただけたら幸いです。今後ともご指導等、よろしくお願い申し上げます。

                    
                    沖縄県立芸術大学 美術工芸学部 
                          准教授 名護 朝和

健夫さんの原点 “ベビースプーン”

今回のマンマミーア展で、川端健夫さんがワークショップで教えてくださるのは、現在のものづくりの原点となったベビースプーンです。

洗練された家具をつくる師匠のもとで木工の修業を始めた頃は、美しいものづくりをひたすら追い求めていたという健夫さん。
そこから日々の暮らしに役立ち、愛着の湧く現在のような木の道具づくりへとものづくりが変化したのは、長男のいつき君が生まれたことがきっかけでした。

妻の美愛さんは、出産直前まで仕事をしたいと考えて、滋賀県甲賀市のマンマミーアの中の自宅スペースでの出産を選びました。
その時にお世話になった助産師さんに、「お父さんが木工作家なら、赤ちゃんにシロップを飲ませるスプーンをつくってみては?」というアドバイスをもらったのだそうです。

家族のために生活の道具をつくることは、健夫さんにとっては初めての経験でした。
生まれてきたばかりのいつき君のくちびるに、戸惑いながら何度も試作したスプーンを触れさせ、小さな手のひらにスプーンを握らせて、赤ちゃんのためのスプーンのデザインや機能を求めました。

こうして、初めての赤ちゃんのための木の道具「ベビースプーン」が完成しました。
このときのものづくりは、美しいカタチを求めていたときのものとは違っていました。そして、完成したときの感動はとても大きく新鮮なものだったそうです。

健夫さんのものづくりを変えたベビースプーン。
大切な小さな子どもたちのためにつくってくださる方にご参加いただけましたら、とても嬉しく思います。

○川端健夫のベビースプーン・ワークショップ

ご自身のお子様用や、お友だちやご家族の出産のお祝いにお求めになる方も多い人気のベビースプーンを、川端健夫さんと一緒につくります。仕上げにお子さんのお名前を焼き付けて、世界にたった1つのスプーンが完成します。

日時:3月5日(日) 13時から16時の3時間
定員:6名様前後(ご予約制)
参加費:¥3,000+税

沖縄から

 

昨年の夏、急に思い立って沖縄に向かいました。およそ10年ぶりのことでした。

10年前の私は、幸運にも沖縄が誇る染色「紅型」の本の編集に関わらせてもらっていました。紅型の作者は、第二次世界大戦で焦土と化した沖縄で、途絶えてしまった琉球紅型の復興を成し遂げた城間栄喜さんのご子息。栄喜さんの心と技を引き継いだ城間栄順さんです。

取材のために沖縄に何度か通い、栄順先生が営む「城間びんがた工房」で、沖縄が誇る伝統的な染色「紅型」をつくる人たちに出会いました。工房の中には長い反物が張り巡らされ、とても専門的で繊細な染めのための役割が複数の人の手によって担われています。型染めのための型彫りも染めも、手づくりの道具で手作業で行い、気の遠くなるような緻密な工程を積み重ねて、美しく上品、愛らしくてモダンな絵柄は描き出されて行きます。それは見ているだけで息を止めてしまうような仕事です。

若い人たちからベテランまで、全国から伝統工芸を学ぶために多くの人たちが集まる工房では、いつも栄順先生と奥様の勝美さん、そしてご家族もスタッフと一緒に仕事をしています。午前と午後には暑さでばてないためなのか短いおやつタイムがあって、栄順先生が海で釣って来てくださったグルクンなどの小さな魚を天ぷらにしたものや、地元の素朴なお菓子などを、先生を中心にスタッフ全員で床に車座になっておしゃべりしながらいただきます。そのおやつの美味しさと人懐っこいスタッフの笑顔は今も忘れられません。

紅型の工程には、屋外で水を使って行う作業もあるので、エアコンのきいた屋内と暑い屋外を行ったり来たりしながら作業は進みます。みんな裸足にサンダルかゴム草履、半パンにTシャツ姿、それが私にはすごく新鮮に映って、ものづくりの現場に流れる自由で心地よい空気を強く感じたのを覚えています。

今回の沖縄行きで栄順先生の工房を訪ねた時、奥様が私のお店が出来たお祝いに、「好きなもの持って行きなさい」と額装用の紅型を譲ってくださいました。

「あなたのお店に飾りなさい。売れなくていいからね〜、もし売れたらお金を送ってもらおうね〜」と笑顔で作品を預けてくださいました。ウチはカジュアルなお店ですから、「無理です、手に負えません」と何度も辞退しましたが、「見てもらうだけでいいじゃないの〜。お客さまに見てもらおうね〜」と。ご長男のお嫁さんが、「ほんとは平岡さんにあげたいのよ。でもそうも行かないから、気にしないで持って行って」と言ってくださって・・・。

お預かりした作品は全部で6点、伝統的な縁起の良い柄や城間栄順先生の真骨頂とも言える愛らしいハコフグや熱帯魚などのオリジナルな図柄、そして奥様が大切に育んでいる藍で染められた作品などが下張りを終えてお店に届きました。

紅型というと首里城などで見られる黄色い踊り衣装がよく知られていますが、実際にはまだ戦後再現されていない絵柄も含め、繊細で美しい絵柄や沖縄の風物を描いた楽しい作品など、絵柄も色彩もたくさんの表現方法があります。“うちくい”という大判の風呂敷や舞台幕など、勢いよく手描きで描かれる”筒描き”という技法の作品も、ふだんはなかなか目にすることはありませんが、華やかで勢いがあって素晴らしいものです。

遠く海の向こうにある伝統工芸「紅型」をもっと身近に知っていただきたい。好きになっていただきたい。そして私は沖縄ともっと親しくなりたい。そんな気持ちはこの10年消えることがありませんでした。

10年経って私の思いが叶ったのか、当時編集を手伝ってくださった栄順先生のお弟子さんで、現・沖縄県立芸術大学教授の渡名喜はるみさんと再会。ワイワイと盛り上がって、トントン拍子で芸大で染色を学ぶ大学院生の卒業作品展を、今年の3月にウチのお店で開催することが決まりました。この展開には我ながらびっくりでしたが、渡名喜さんの沖縄らしいおおらかで気持ちのいい情熱の渦に巻き込まれてしまったようです。どんな作品が届くのか、本当に楽しみです。

城間栄順さんの作品は、2月11日からの「ふたり展』までご覧いただけます。以降は、作品展などイベントのタイミングを見て展示を再会する予定です。一応お値段はつけていますが、それは気にせず、ぜひお気軽に本物の紅型に合いにお出かけください。

沖縄県立芸術大学の大学院生の作品展は、3月11日(土)から20日(月・祝)まで開催の予定です。沖縄で染めを学んでこの春全国へ旅立つ学生たちの、学生として最後、社会人としては初めての作品展になります。こちらのイベントの詳細も順次お知らせいたしますので、ぜひお楽しみに。