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古いピアノが奏でる音は〜8/31 夕涼みジャズライブ〜

 

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カフェにある古くて小さなピアノは、幼稚園の園長をしていた母方の祖母のものです。祖父が小学校の校長先生だったこともあってか、戦時中は集団疎開先まで運んで行ったという母の家族にとっては大切なピアノでした。母の実家に昭和の初めからあった古いもので、昔はみんなそうだったのかもしれませんが、表面の塗装は漆で、鍵盤は全て象牙で出来ていました。

母が私たち娘のためにと譲り受けたものですが、父の転勤の度に引っ越し荷物として移動したり、倉庫に預けられたり、その倉庫でぼやが起きたりするうちに、鍵盤は反り返り、塗装は剥げてしまいました。ピアノの修復を決めたのは母で、中も外も修復して全く違うものになってしまいましたが、何とか使えるようにはなりました。その修復からも、すでに15年以上が経ち、母もすでに亡くなりました。

vowcafeを作るとき、ジャズが好きな夫は絶対にピアノを店に持って行こうと言いましたし、私も東京の馬喰町にあるピアノのある定食屋さん『フクモリ』が好きだったので、連・建築舎の建築士 伴さんにピアノの居場所を作ってもらいました。伴さんは、ピアノの存在を私たち以上に大事にして設計してくださったなぁと思っています。

ところが、オープンから2年、ピアノが活躍して日の目を見ることはなかなかありませんでした。簡単な消音はしていても、元々の音量や反響も大きいので、時間帯などにも配慮が必要だったためです。最近は、個展などで作品がたくさん搬入される度に、一番いい場所に陣取っているピアノをどこかに動かそうか?という話が出て、ピアノはかなり肩身が狭くなっていました。

数ヶ月前のある日、昨年うちで個展をしてくださった木版画家のイワウチマリコさんを介して、ジャズピアニストの関谷友加里さんと出会う機会がありました。2人の小さなお子さんを持つ関谷さんは、産休でジャズピアニストとしての仕事をしばらくお休みしていたのですが、最近、大阪音楽大学の講師のお仕事共に活動を再開したところでした。

関谷さんは古くて小さなピアノをとても気に入ってくれて、「弾いてみてもいいですか?」と遠慮がちにたずねてから、ピアノの前に立ちました。それから、それはほんの数分間のことでしたが、お店の中に気持ちのいいピアノの音色が溢れました。その時の心地よさは忘れることが出来ません。

しばらくして、関谷さんが一人でお店を訪ねて来てくれました。用件は、月に1、2度、平日の昼間や夕方に、うちのお店でゆったりとしたジャズピアノのライブが出来ないか、というお話でした。普段通りのカフェでコーヒーを飲みながら、気軽にジャズが聞ける、そんなことはできないかな?と。

話し合い、メールをやり取りし、関谷さんのライブにも伺いました。正直、平日の昼間や夕方にジャズを楽しんでくださる方がどのくらいいらっしゃるものか、図らずもその時間にお店でお茶を召し上がっているお客さまは喜んでくださるのか?などなど、気になることはいろいろありました。でも、私と関谷さんの結論は、月に1〜2度、上質なジャズがいつものカフェで聴ける、お友だちとコーヒーを飲みに行ったら気持ちのいいピアノの音が流れてる、そんな時間がたま〜にあるカフェって悪くないんじゃないか?ということでした。そうやってこの場所に音楽が根づいていったら、素敵だろうな!と。

カフェは通常通りのお値段で、チャージはいただきません。演奏が良かったら投げ銭でチップを入れていただく、そんなやり方で始めてみます。月に1度、平日の午後の昭和町にゆるゆるとジャズピアノのメロディが流れている。そんな景色が見慣れたものになるといいなぁ、と願いつつ始めます。

第1回目は、関谷さんのお披露目もかねて、8月31日(水)17時から、『夕涼みライブ』を企画しました。この日はビールも少しご用意します。ぜひお気軽にお出かけください。

関谷友加里「夕涼みジャズピアノライブ」

8月31日(水)17時より19時 2ステージ

ノーチャージ・チップ制

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プロフィール/せきや・ゆかり ピアニスト・作編曲家

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大阪府出身。4才よりピアノを始め、高校時代にベーシストの兄のバンドでライブデビュー。その頃よりジャズに興味を持ち、大阪音楽大学で学び首席で卒業。師である石井彰氏の影響でオリジナルを作るようになり、21歳で自作曲を収録したアルバム「a sunset glow」をリリース。 その後「関谷友加里トリオ」を結成、後に田中ゆうこ(現 由中小唄)(vo)を迎えて2011年に「ありふれた愛なので・・・」をリリース、2013年には加賀温泉郷フェスのイベントでグランプリを受賞し、メインステージに出場する。

現在はジャズスタンダード/即興/オリジナルの垣根をなくした演奏を目指し取り組む他、「メロンオールスターズ」「SEMODAI」等のグループに参加。 自然と発生する色々な物事を大切に活動・生活している。 大阪音楽大学ジャズコース非常勤講師。

 

赤ちゃんとお母さんとお店と。

赤ちゃんを連れたお母さんがやって来ると、カフェの厨房の中にいる西川は嬉々とした顔で外までバギーを出迎え、にじり寄って行きます。うちのお店は、眠った赤ちゃんとお母さんという組み合わせのご来店も多いのです。

赤ちゃんが寝ている間はお母さんの貴重な休憩時間。ゆっくり過ごしていただきたくて、西川はささやくような声で「いらっしゃいませ・・・」とオーダーを取りに行きます。ほかにお客様がいないときなら、エアコンも音楽もものすごく弱〜くなります。

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赤ちゃんが入れないカフェも多いとお客さまからもよく伺います。それはお店の考え方と、お店に対して、そしてお店で過ごす時間に対して、お客さまが期待することに合わせてそうあるのだと思います。良いも悪いもありません。

ウチの場合は、赤ちゃんマニアのお姉さんと、おばあちゃん年齢に近づいているおばちゃんのお店なので、ウエルカム。赤ちゃんのときから通ってくださるご家族のお子さんが、オープンから2年で保育園に通園するようになって、西川のことを「お姉ちゃん」と呼んでくれたり、私のことを、「平岡さん」と大人っぽく呼んでくれたりするのがとても嬉しいので、どうぞどうぞということになっています。

同じ時間を店内で過ごすお客様に対して、きちんと配慮してくださるお母さんたちが大半であることも、お子さん連れのお客さまに対して寛容なお客さまが多いことも、本当に恵まれていると思います。とても嬉しいことです。

今日は、2ヶ月前まで妊婦さんだったお母さんと、お腹にいた赤ちゃんが元気に来店してくださいました。またまた西川は大喜び。まあこんなのん びりなカフェがあってもいいのかな?

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