石田 麗 紅型作品展「空、駆ける」3月21日春分の日スタート!


 
page5image36809072

ちとせ染工房から  

私は沖縄で13年間、紅型を中心とした染めを学び、2012年の夏に生まれ育った大分へ帰ってきました。

豊後大野市千歳を工房の場所に決めたのは、私の曽祖父と祖父、祖母がここで暮らしていたからです。古くて小さいながらも、この祖父母たちの家で染めをやっていくことが私の夢でした。

沖縄から帰ってきて、あらためて千歳を見ると、ここは魅力的な素材が溢れています。

夏のおわりの涼しい風に乗って甘い香りを運んでくれるクズの花。

田んぼの畦道を輝く青で彩るツユクサ。

秋の田畑に広がる波は豊かな実りの稲穂とハトムギ。

寒い季節の山道にユニークな形を拵えるネムの実。

川面いっぱいに夕日を浴びて静かにながれる茜川。

そしてここには、私が子どもの頃から大好きだった“鯉のぼり”が生き生きと泳ぐ広い空があります。

毎日スケッチする手が追いつかないほどなのですが、幸せなことに、ここには穏やかな時間がたっぷりとあります。これから一つ一つの素材を描いて、型を彫り、糊を置いて・・・、この場所だからこその新しく魅力的な図案、そして紅型を生み出していきたいと思っています。

初めての大阪での作品展に向けて、今、全力で作品を染めています。

皆様のご来場を心よりお待ちしております。

                                                  染色作家  石田 麗